熱戦を繰り広げてきた2019夏の甲子園。いよいよベスト4が揃いましたね。
準決勝に勝ち進んだ4校は、履正社(大阪府)、明石商(兵庫県)、中京学院大中京(岐阜県)、星陵(石川県)です。
前評判の高かった高校が残った印象にありますが、近年の高校野球を見ると、関東や関西の高校が強いというのはあまりなくなりましたよね。
一昔前だと、甲子園で1勝を上げることが難しいとされていた県でも、今では堂々と関東や関西の高校と渡り合っていますからね。
特に今年の甲子園は、関東や関西以外の高校の活躍が目立ちます。ベスト16に鶴岡東(山形県)や敦賀気比(福井県)、ベスト8に今や強豪校のひとつとされる八戸学院光星(青森県)。
そして、中京学院大中京(岐阜県)は、初めての準決勝進出を果たしましたからね。
関東や関西の強豪とされる高校を、実績で劣る高校が破るというのは高校野球の醍醐味のひとつでもありますが、実はこれらの私立高校は関西や関東を中心に良い選手をかき集めているのです。
そう、いわゆる「野球留学生」というものです。
以下に、それらがわかる各校のデータをまとめてみました。
鶴岡東(山形県)

鶴岡東の野球留学生は14人。内訳は、大阪府5人、長野県3人、埼玉県2人、栃木県1人、千葉県1人、兵庫県1人、滋賀県1人
レギュラーメンバー9人中、県外出身者8人 88%
(大阪府5人、長野県2人、埼玉県1人)
選手名 | 出身・中学 | 守備 | 学年 |
池田康平 | 庄内町立余目中 | 投手 | 3年 |
大井光来 | 佐久リトルシニア | 捕手 | 3年 |
森弦起 | 大阪狭山ボーイズ | 内野手 | 3年 |
山路将太郎 | 河南リトルシニア | 内野手 | 2年 |
寶田健太 | 大阪泉南ボーイズ | 内野手 | 3年 |
河野宏貴 | 河南リトルシニア | 内野手 | 3年 |
丸山蓮 | 鶴岡ドリームス | 外野手 | 3年 |
山下陽生 | 川越ボーイズ | 外野手 | 3年 |
竹花裕人 | 佐久リトルシニア | 外野手 | 3年 |
相川陽 | 木更津市立清川中 | 投手 | 3年 |
影山雄貴 | 東成リトルシニア | 投手 | 3年 |
髙泉歩夢 | 春日部ボーイズ | 不明 | 3年 |
平山雄介 | 上三川ボーイズ | 外野手 | 3年 |
小林三邦 | 佐久リトルシニア | 不明 | 2年 |
榊原崚太 | 酒田リトルシニア | 不明 | 3年 |
藤野竜征 | 湖南ボーイズ | 外野手 | 3年 |
荒木遼太 | 鶴岡ドリームス | 外野手 | 3年 |
田中大聖 | 河南リトルシニア | 外野手 | 3年 |
鶴岡東の選手の出身中学チームが所属していたリーグを見ると、山形県中学軟式野球、リトルシニア東北信、ボーイズ大阪阪南支部、リトルシニア南大阪、ボーイズ大阪南支部、山形硬式野球、
ボーイズ埼玉県支部、千葉県中学軟式野球、リトルシニア大阪市内、ボーイズ栃木県支部、リトルシニア山形県、ボーイズ滋賀県支部とあるように、関西や関東から選手が集められています。
敦賀気比(福井県)

敦賀気比の野球留学生は11人。内訳は、大阪府6人、京都府3人、兵庫県1人
レギュラーメンバー9人中、県外出身者5人 55%
(大阪府3人、京都府2人)
選手名 | 出身・中学 | 守備 | 学年 |
笠島尚樹 | 鯖江ボーイズ | 投手 | 2年 |
御簗龍己 | オールスター福井 | 捕手 | 2年 |
杉田翔太郎 | 大阪八尾ボーイズ | 内野手 | 3年 |
長濱慶太 | 泉州ボーイズ | 内野手 | 2年 |
野道大誠 | 鯖江ボーイズ | 内野手 | 3年 |
中川宙 | 京・相楽硬式野球クラブ | 内野手 | 3年 |
木下元秀 | サウスウインド | 外野手 | 3年 |
大島正樹 | 京都嵐山ボーイズ | 外野手 | 1年 |
髙原秀郎 | オールスター福井 | 外野手 | 3年 |
黒田悠斗 | 鯖江市中央中 | 投手 | 3年 |
岩田優世 | 若狭高浜ボーイズ | 投手 | 2年 |
島原大河 | 関メディベースボール学院(中学) | 外野手 | 3年 |
上間洸太 | 兵庫伊丹 | 外野手 | 3年 |
岡村匠樹 | 門真ビッグドリームス | 内野手 | 2年 |
中村一喜 | 大阪八尾ボーイズ | 内野手 | 2年 |
前川誠太 | 京都嵐山ボーイズ | 不明 | 1年 |
長谷川信哉 | 京都嵐山ボーイズ | 外野手 | 2年 |
松村力 | 敦賀ボーイズ | 投手 | 2年 |
敦賀気比の選手の出身中学チームが所属していたリーグを見ると、ボーイズ福井県支部、ヤングリーグ北陸支部、ボーイズ大阪中央支部、ボーイズ大阪南支部、ヤングリーグ京滋支部、
ヤングリーグ大阪第一支部、ボーイズ京都府支部、福井県中学軟式野球、ヤングリーグ兵庫東支部、大阪府中学軟式野球とあるように、関西を中心に選手が集められています。
八戸学院光星(青森県)

八戸学院光星の野球留学生は16人。内訳は、大阪府5人、奈良県4人、宮城県1人、東京都1人、静岡県1人、長野県1人、京都府1人、徳島県1人、沖縄県1人
レギュラーメンバー9人中、県外出身者8人 88%
(大阪府5人、東京都1人、奈良県1人、徳島県1人)
選手名 | 出身・中学 | 守備 | 学年 |
山田怜卓 | 京都東山ボーイズ | 投手 | 3年 |
太山皓仁 | 大阪加美ボーイズ | 捕手 | 3年 |
近藤遼一 | 橿原ボーイズ | 内野手 | 3年 |
伊藤大将 | 寝屋川中央リトルシニア | 内野手 | 3年 |
下山昂大 | 弘前白神リトルシニア | 内野手 | 3年 |
武岡龍世 | 徳島ホークス | 内野手 | 3年 |
大江拓輝 | 東成リトルシニア | 外野手 | 3年 |
島袋翔斗 | 志村ボーイズ | 外野手 | 3年 |
原瑞都 | 柏原リトルシニア | 外野手 | 3年 |
横山海夏凪 | 松本ボーイズ | 不明 | 3年 |
渡邊太楼 | 静岡蒲原リトルシニア | 投手 | 3年 |
小林嶺太 | 宮城北部リトルシニア | 内野手 | 3年 |
丸山雄哉 | 生駒ボーイズ | 内野手 | 3年 |
大野僚磨 | 八戸東リトルシニア | 不明 | 3年 |
道江勇斗 | 貝塚リトルシニア | 内野手 | 3年 |
後藤丈海 | 大阪城東リトルシニア | 外野手 | 3年 |
川上亘輝 | 葛飾区立奥戸中 | 不明 | 3年 |
澤波大和 | 柏原リトルシニア | 外野手 | 3年 |
八戸学院光星の選手の出身中学チームが所属していたリーグを見ると、ボーイズ京都府支部、ボーイズ大阪阪南支部、ボーイズ奈良県支部、リトルシニア北大阪、リトルシニア青森県、
ヤングリーグ東四国支部、リトルシニア大阪市内、ボーイズ東京都東支部、リトルシニア南大阪、ボーイズ長野県支部、リトルシニア南関東支部、リトルシニア宮城県、東京都中学軟式野球とあるように、非常に多くの地域から選手が集められています。
中京学院大中京(岐阜県)

中京学院大中京の野球留学生は11人。内訳は、兵庫県4人、大阪府2人、東京都1人、奈良県1人、静岡県1人
レギュラーメンバー9人中、県外出身者6人 66%
(兵庫県3人、大阪府1人、東京都1人、滋賀県1人)
選手名 | 出身・中学 | 守備 | 学年 |
不後祐将 | 神戸須磨クラブ | 投手 | 3年 |
藤田健斗 | 滋賀ユナイテッドジェイボーイズ | 捕手 | 3年 |
元謙太 | 岐阜東濃リトルシニア | 外野手 | 2年 |
申原愛斗 | 神戸須磨クラブ | 内野手 | 3年 |
小田康一郎 | 八王子リトルシニア | 内野手 | 1年 |
井上槙士 | 松原ボーイズ | 内野手 | 3年 |
二村洸生 | 岐阜東濃ボーイズ | 内野手 | 3年 |
高畠和希 | 神戸須磨クラブ | 外野手 | 3年 |
増田大晟 | 西濃ボーイズ | 外野手 | 3年 |
鈴木浩介 | 岐阜中濃ボーイズ | 外野手 | 3年 |
村田翔 | 松原ボーイズ | 投手 | 3年 |
久保亮大 | 兵庫加古川 | 捕手 | 3年 |
楠橋壱成 | 滋賀ユナイテッドジェイボーイズ | 内野手 | 3年 |
高田楓真 | 富田林ボーイズ | 内野手 | 3年 |
布谷陸人 | 岐阜東濃ボーイズ | 外野手 | 3年 |
宮本大地 | 岐阜東濃リトルシニア | 外野手 | 3年 |
吉田直哉 | 中津恵那リトルシニア | 投手 | 3年 |
赤塚健利 | 掛川リトルシニア | 投手 | 3年 |
中京学院大中京の選手の出身中学チームが所属していたリーグを見ると、ヤングリーグ兵庫西支部、滋賀県中学軟式野球、リトルシニア岐阜、リトルシニア西東京支部、
ボーイズ大阪中央支部、ボーイズ岐阜県支部、ボーイズ大阪阪南支部、リトルシニア南関東支部とあるように、関西を中心に選手が集められています。
まとめ
甲子園で勝つのはお金のある私立高校!?野球留学生問題については、いかがでしたでしょうか。
データが示すように今や高校野球は、純粋に県と県とのぶつかりあいではなく、お金を持っている私立の高校が勝てるという風潮があります。
大阪をはじめとする関西から東北や中部の高校に越境する選手が多いことは、一部の高校野球ファンのみならず議論の的になっていることからも分かります。
去年の準優勝校の金足農業のように、野球留学生がゼロの高校が活躍することもまれにありますが、現在は、大阪桐蔭や智弁和歌山といった甲子園では常に優勝候補に上げられる高校に限らず、東北や中部の高校も甲子園で優勝するために、野球留学生が不可欠となっているのです。
野球留学生が、今まで甲子園で勝てなかった地域のレベルを押し上げているのは確かですが、お金があっていい選手を集められる私立高校同士のぶつかりあいになりつつある今の高校野球は如何なものでしょうか?